Category : フランスの男と女

いずこも同じ、夫婦喧嘩

義弟のジャン=ルイの奥さんマルティーヌはかなり口うるさい。
車に乗っているときは、
「速く走りすぎる」「しゃべりすぎて危ない」
(ジャン=ルイは車好き、運転が上手いので有名)
食卓では、
「飲みすぎるな」「自分ばかり飲んでいないで人にもワインを注げ」
話に夢中になってジャン=ルイが椅子を揺すれば、
「椅子が壊れる」
大声で笑えば、
「近所迷惑だ」
(お隣さんはかなり離れている)
ジャン=ルイが出かけるときは
「車のカギ持った?お財布は?」
「やめてくれ!子供の時、出かける前に『オシッコした?』と言われたのを思い出す」
時々、ジャン=ルイがキレて大声を出す。元弁護士が怒鳴るとかなりの迫力、でもマルティーヌはビクともしない。日常茶飯事で“犬も食わない”。
10分後には仲良く話している。長く一緒に暮らしているカップルはみんなこんなモンだ。ウチと同じパターンの口喧嘩もあって可笑しくなる。夫婦喧嘩はちょっと距離を置くとユーモラス、子供たちが心配しない訳だ。

お隣の中庭に住んでいる野良猫。毎日ご飯をせがみにやってくる。
マルティーヌは「居つかれると困る」と反対だけど、この可愛さ!ご飯をやらずにいられない。

フィジャックの野良猫

地元で有名なフィジャックのブロカント。
ブロカントと聞くと目が輝くが、探しているものは-植木鉢やオブジェを飾れる梯子!-は見つからなかった。

フィジャック、ブロカント

フィジャック、ブロカント


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「先週、友達からびっくりする電話がかかってきたんだ」とアダム。「『奥さんの心臓の鼓動を日本のTeshimaで聞いたわよ!』って」
アダムはかって同じオフィスを共有していたこともある友達、親友だ。
「なにそれ?」
話は2010年に遡る。グランパレでクリスチャン・ボルタンスキーというアーティストの展覧会があった。“人類の限界と記憶の重要性”を追求しているアーティストで、タイトルは『運命と避けられない死について』。聞いただけで胃が痛くなりそうなエクスポに、2人は行ったわけだ。

グラン・パレ、クリスチャン・ボルタンスキーのエクスポ

ボルタンスキー、グランパレ

その一画に「あなたの心臓の鼓動を録音しましょう」というのがあり、アダムの奥さん(イヴじゃなくて)カリーヌは面白がって録音した。
日本に行っていた彼らの友人が、たまたま瀬戸内海の豊島(てしま)に行き、美術館に入り、カリーヌの心臓の鼓動を聞いた、という美しい偶然。でも、なぜパリで録音された心臓音が、豊島まで運ばれたんだろう?豊島は“瀬戸内海に浮かぶ食とアートの島”だそうだ。

ここが「心臓音のアーカイブ」

豊島 心臓音のアーカイブ
photo:youtube

さらに偶然は、その数日後に、アダムはアメリカの作家のこんな短編を読んだ:心臓移植手術を受けた男性が、退院後ドナーの妻に会いたいと思った。彼女は躊躇ったあげく承諾し、2人は公園で会った。当たり障りのない会話の後、ドナーの妻が「ひとつお願いがあります」
「なんでしょう?」「“あなた”の心臓の音を聞かせてください」
男はシャツの胸を開け、妻はそこに耳を当てて心臓音を聞く。そして2人は泣き出した・・・

すごいメロじゃない。
アダムはこの短編を読んでなお更、カリーヌの心臓音の話に感動したそうだ。
「2017年に一緒にTeshimaに行かないか?」
奥さんの心臓音なら毎日でも聞けるじゃない、という言葉がでかかって、5年前に娘とその友達と行った四国が蘇った。今まで行った地方の中で、一番印象に残っている場所。
「今年は旅行しすぎたんで、来年は大人しくすることにして2017年・・・」とアダム。
心惹かれた。カリーヌの心臓音を聞きに豊島に行こうか・・・


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6月はじめ、スペイン国王フェリペ6世が来仏して晩餐会があった時の、経済・産業相エマニュエル・マクロン。

経済相エマニュエル・マクロン夫妻

「お母さんと一緒?」ではなく、奥様のブリジット、この日初めて公式の場に現れた。なかなか素敵な女性。
今、カップルはベルシーの官舎で平穏に暮しているけど、ここにたどり着くまで波乱万丈の人生だったらしい。

2人が出会ったのは20年前。16歳のエマニュエルはアミアンの高校生、40歳のブリジット・トロニューはフランス語の先生だった。
エマニュエルが先生の“秘蔵っ子”なのはミエミエで、彼も先生を熱い眼差しで見ていた。
当時ブリジットは結婚していて子供3人。田舎町で噂はすぐ広まった。

周囲の目だけではない。法律で、18歳以下の生徒と関係を持った教師は最高3年の禁固刑、と定められている。1969年、16歳の生徒と恋愛関係になった女教師(32歳)が、服役の後、自殺した例もある。
2人は密やかに会っていたものの、アミアンの町はこれまでにないスキャンダルに沸き立ち、ゴシップ週刊誌と化した。
ブリジットは離婚を決意。3人の子供たちは、自分達と年齢が離れていない“義父”が少なからず気に入った。

いたたまれなくなった2人はパリへ脱出。
エマニュエル・マクロンはパリの名門高校アンリⅣに転校し、バカロレアを「Très bien」つきで取得、フランス国立行政学院(エリート官僚養成学校)に入学。2005年に国家公務員になる。
ブリジットは彼のために、夫も仕事も、生まれ故郷も捨て、パリの私立高校の先生になる。だけでなく、出世コースが約束されたエマニュエルの“陰の女性”になる覚悟だった。
でも、エマニュエル・マクロンの高校時代からの愛情は変わらなかった。2人は2007年に結婚。めでたし、めでたし・・・

男性が20歳年下の女性と一緒になるのはよくあるけど、女性にも希望が持てるお話ではない?


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オランド大統領にふられた後に、ヴァレリー・トリールヴァイエールが著した『Merci pour ce moment/その時をありがとう』が英語訳されてイギリスで発売になる。

ヴァレリー・トリールヴァイレール

その機会に、濃いメイクで唇に人差し指を当てたヴァレリーの写真がTimesの一面を飾った。
フランスでは、「嫉妬深く復讐心の女」、「現職大統領のプライベートを暴露して・・・」と評判の悪いヴァレリーさん、イギリスではスターのように迎えられたとか。
イギリスのメディアはもともと“綺麗な女性を表紙に持ってくるのが好き”だそうで、それが現大統領のモト彼女となれば飛びつくのは当然だ。
彼女をインタビューしたTimesの記者は、
「リポーターとして、事の成り行きをありのままに語ろうとしたヴァレリー・トリールヴァイエールの決断を評価する。フランス大統領の驚くべきキャラを明るみに出すのは悪いことではない」
“ありのまま”かどうかはオランドさんにも聞かないとわからないだろうに。

ちょうど同じとき、大統領と女優ジュリー・ガイエが、エリゼ宮の中庭で仲良くお話している写真が、ゴシップ雑誌Voiciに載る。
フランソワ・オランド&ジュリー・ガイエ

バイクに乗って、ジュリー・ガイエとの密会に出かける大統領の姿がすっぱ抜かれて、ヴァレリー・トリールヴァイエールがショックで入院したのは今年の1月。
それ以来、フランソワとジュリーの仲は終わったのかと思っていたら・・・浮気じゃなくて本気だったらしい。
黙ってはいられないヴァレリー、イタリアの雑誌のインタビューで、
「オランド大統領は『今後、ジュリー・ガイエはエリゼ宮には一歩も入れさせない』と誓ったのに!またウソがひとつ増えた」と怒りをぶちまけたとか。インタビューのタイトルは『裏切られ、捨てられ、私は黙ってはいない』。

終わった愛情はもうどうにもならない。せめて引け際をきれいにしないと、自分や思い出まで汚れてしまうのにね。別れた男の悪口を国外まで行ってしゃべるなんて・・・オランドは踏んだり蹴ったりだ。
某ジャーナリストが、
「同じ女として、同じジャーナリストとして(ヴァレリーはジャーナリスト)、二重に恥ずかしい」と語っていた。同感。

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「今まで生活をともにしてきたヴァレリー・トリエルヴェレールとの関係を終わらせたことをお知らせする」
土曜日の夕方、AFP(フランス通信社)に「大統領としてではなく、個人として」送られたオランド大統領のメッセージ。
この内容の了解を取ろうと、オランドは何度かヴァレリーに電話したけど、彼女は応えなかった。裏切ったのはアナタなんだから1人で責任取りなさい、ということらしい。

翌日日曜日の新聞は第一面に大統領カップルの破綻を取り上げた。「・・・終わった」「物語の終焉」・・・

フランソワ・オランド&ヴァレリー・トリエルヴェレール

女優ジュリー・ガイエとの関係が暴かれてから2週間後。大統領としてはもう少し緩やかに別れ話を進めたがったらしいけど、アメリカ公式訪問に同伴するのかしないのか?などマスコミのプレッシャーが強くて、これ以上延ばせなくなった。
これでアメリカ公式訪問はファースト・レディ(アメリカのメディアは“ファースト・ガールフレンド”と呼んでいる!)なしで行くことに。
第一、オランド大統領は「エリゼ宮にファーストなんじゃらはもう迎えない」と宣言している。女はもう沢山、ということではなく、正式に大統領のパートナーという肩書きの女性は迎えない。秘書、プレス、ボディガードとお金がかかり、愛情物語が終わる度に公式発表するなんて!ということらしい。アンジェラ・メルケルの旦那さんも公式に現れたことはないし、いいんじゃないでしょうか・・・
20ヶ月“ファースト・ガールフレンド”だったヴァレリー・トリエルヴェレールは元Paris Matchのジャーナリスト。歴代の大統領の伴侶の人気投票では最下位(1位がベルナデット・シラク、2位:カーラ・ブルーニ)。
オランドの浮気がバレた直後、エリゼ宮で廊下まで響きわたる“夫婦喧嘩”があり、逆上したヴァレリーが高価なセーヴルの壺などを叩き割ったとか。噂は少しずつオヒレがついて、壊された“国有備品”の総額は300万ユーロとか・・・どこからこの金額が出てきたことやら、でも“廊下まで聞こえた怒声”までは事実らしい。
大統領の発表を受けて、ヴァレリー・トリエルヴェレールは「エリゼ宮の素晴らしい人物に感謝の念」を表明し、「別れの時見せた誠実さ、動揺を決して忘れない」という殊勝なセリフをツィート。
その舌の根も乾かぬうちに、
「だから醜男を選んだのに・・・男なんてみんな同じね」と言ったとか、言わないとか。


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プロフィール

Author:長谷川たかこ

この国に住もう!と決めたのは13歳のとき。それが実現したのは10年以上経ってから、それから30年の月日が流れました(計算しないで!)
現在フレンチ・コード主宰。訳書多数、著書3冊。夫1人、子供2人、猫2匹と暮らす騒がしい毎日。映画と料理とデビッド・ボウイが趣味。


長谷川たかこ

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