Category : ニュース

ウフフ・・・極右・国民戦線の分裂

日本ではあまり知られていないマリオン・マレシャル=ルペンは、ジャン=マリー・ルペンの孫、今回の大統領選で敗れたマリーヌの姪に当たる。

マリオン・マレシャル=ルペン
photo:nicematin

18歳でおじいちゃんの作ったFront National/国民戦線に入党。2008年(地方選挙)、2010年(地方地域選挙)では落選。2012年のフランス議会総選挙でヴォークリューズ県第3選挙区から立候補し当選。22歳、大学生、フランス共和史上最年少の国民議会議員になる。
彼女がしゃべるのを聞いていると、その頭の回転の速さと口の達者さに感心する。カエルの孫(姪)はカエル、いやカエルを超えているかもしれない。
2015年の地方地域選挙ではプロヴァンス=アルプ=コードダジュール(PACA)から出馬し、国民戦線の候補者の中で一番の得票比率で当選した。
マリーヌおばさんが党の“脱悪役”を図り、ジャン=マリーお爺ちゃんを追い出したことに反対。ジャン=マリーにとっては味方につけられそうな可愛い孫、マリーヌにとっては支持率が魅力の手強い姪、つまり双方にとって貴重な存在だ。

そのマリオン(この家族、やたらMのつく名前が多い)が、突然「政治を一時的に引退」と宣言。表向きの理由は“子育て”。あまりに彼女が不在なので、2歳半の娘から「マダム」と呼ばれたのがきっかけだ。「この子は私を母親と思っていない !?」

でも本当の理由は、一次投票と決選投票の間に行われた討論で、マリーヌが「惨憺たるもの」だったこと。
答弁を準備したフロリアン・フィリポ(国民戦線の副党首)らを「揃いもそろってバカ」と漏らし、こんな党とは距離を置きたい、ということらしい。
フロリアン・フィリポ(35歳)はHEC経営大学院、フランス国立行政学院を出た、党きってのエリート、党首マリーヌの“頭脳”だ。

極右FN副党首、フロリアン・フィリポ
photo: la dépêche

その彼が「国民前線がユーロ離脱を方針として掲げないなら、党を辞める」と言い出した。国民の75%がユーロ離脱に反対しているのを知って、マリーヌが「ユーロ・フラン二本立て」に切り替えたからだ。
「自分の信念に反することを擁護するために党に残りたくない。私は手段は何であれ、フランスの独立のために戦う。」

中枢の人間が2人もいなくなると(フィリポは“脅迫”かもしれないけど)党はぐらつく。マリーヌ・ルペンが敗北後おとなしくしているわけだ。今回は負けても5年後には勝つのでは?と心配されている極右FN。ますます分裂してほしいもんだ。


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オランドからマクロンへ、正式にバトンタッチされるのが14日の日曜日。

10日、最後の閣議で各大臣にサヨウナラ

オランド大統領
photo: TV5monde

大統領の座を退いた後、オランドにはいくら払われるんだろう?
まずモト大統領手当:5.184ユーロ
地元コレーズ県議会長、ヨーロッパ評議会として:6.208ユーロ
会計監査院のミッション:3.473ユーロ
色々な地方業務をひっくるめて:235ユーロ
と計15.100ユーロ、約188万円が毎月払われる。
大統領を辞めても、県やヨーロッパ議会や会計監査院の仕事はあるわけだから、まぁのけぞる額ではない。
驚くべきはその他モロモロ:
家具付きのアパルトマン
行政上の職員:7名
車:1台&運転手2名
家事:2名
ボディガード:2名
エール・フランス、SNCF(フランス国鉄):タダ

辞めた大統領は死ぬまでこれらの年金と特権を与えられる。
去年9月、オランド大統領は、会見監査院から「モト大統領たちに払う金額が目から火が出るほどになっている」と知らされた。考えてみればモト大統領は3人:
ヴァレリー・ジスカールデスタン91歳
ジャック・シラク84歳
ニコラ・サルコジ62歳
総額は年間1030万ユーロ、約12億8750万!
そこに自分(フランソワ・オランド62歳)が加わって4人になるわけだ。
昔は“モト”が4人、という状況は考えられなかったのに、平均寿命が延びてこの状態に。

オランド大統領は政令を発表:特権を5年にし、2022年からは職員3名、運転手1名、家事1名、飛行機&電車のタダ乗りなし、に決めた。もちろん自分だけではなく後の3人も同様。庶民の見方、社会党の大統領らしく・・・

エマニュエル・マクロンは39歳だから5年後は44歳。特権がもとのままだと、その後の長い余生は「何もしないで食べていける!」ということに。ま、マクロンが何もしないわけはないけどね・・・


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前途多難、マクロン新大統領

マクロン66.1%、ルペン33.9%。
39歳4か月と16日、共和国最年少の大統領が誕生した。ファーストレディは64歳、孫7人。

エマニュエル・マクロン大統領
photo:AFP

ルーヴル広場、ピラミッドを背景。”勝つとわかっていた”演出。

エマニュエル・マクロン大統領
photo:parismatch

最後にマルセイエーズを歌ったとき。
背後にいるキャスケットの男性がソーシャルネットワークで有名に。「誰、あの人?」「トランプの支持者が紛れ込んでる」・・・
彼はナントでPizza Hutのフランチャイズをしていて、マクロンの選挙運動に熱心に関わっていたそう。

エマニュエル・マクロン大統領
photo:AFP

確かにマクロンが勝つのは明らかだったけど、この大差に私も喜んだ。イギリスのEU離脱といい、トランプのの政策と言い 、自国優先の閉鎖傾向が広がる中、ヨーロッパの団結と孤立しないフランスを国民は選んだ。「ルペンが大統領になったら日本に帰る」と言っていた友人たちもこれで帰らなくてすむ。ほっ!

でも決選投票の結果をよく見ると、決して安心できるものではない。
〇過去最高の棄権(25%)と白紙投票(12%)
これまで政権を握ってきた右派(フランソワ・フィヨン)左派(ブノア・アモン)が第一次投票で落選し、極右と“極財界”(メランションの命名)が決選に残り、フィヨンとアモンの「マクロンに投票しよう」の呼びかけにも拘わらず「どっちの政策にも同意できない」「ペストとコレラ、どちらも選べない」人が1600万人いた。
〇過去最高のルペン得票数
1100万人がマリーヌ・ルペンに投票、これはFN国民戦線の最高得点。負けてもマリーヌが凹んでいない訳だ。2002年、親父ジャン=マリー・ルペンがまさかで決選投票に残ったときは、一次投票で棄権した人たちが目覚め、投票率は8%上がった。その結果、ジャック・シラクは82%獲得で勝った。今回は“危険に目覚め現象”もなく、逆に棄権が増えた。
15年後、ルペンは確実に支持者を増やしているということだ。

さらに“左派でも右派でもない”マクロンが、誰を首相、各相に選ぶか。
6月の総選挙で過半数を獲得できるか。
・・・と前途多難だけど。
1年前、マクロンが経済相を辞任して政治運動En marche !を立ち上げたとき、「マクロンは大統領になると思うか?」というインタビューに議員たちは口を揃えて「ありえない」「不可能」と答えた。それがなっちゃったんだから・・・ゴールデンボーイに期待しよう。


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大統領選の恒例『一次と二次投票の間の討論』。勝ち残った候補者2人が経済、テロ安全対策、EU・・・について意見を戦わせる予定だったんだけど、マクロンVSルペンのは殆ど言葉の“殴り合い”。

ルペンVSマクロンの最終討論
photo:sudouest.fr

最初の質問、「決選投票4日前の精神状態は?」にマリーヌは、
「私はとても満足です。だって国民の選択が間もなく明らかになるから。ムッシュー・マクロンは、荒っぽいグローバリゼーション、社会不安、経済荒廃の候補者で、それはすべてオランド大統領が舵を取っている。一方私は国民の候補者、私たちが愛するフランス、その文化、文明を護り、フランスを護る候補者・・・」と攻撃開始。討論のトーンが決まった。

司会者が、経済の振興や失業者の減少対策の質問をしても、マリーヌはマクロン叩きに終始:あら、あなた経済相だった時は何もせず、大統領になったらやるって言うの?誰が信じるかしら?

ルペンVSマクロン最終討論
photo:EUROPE1

マクロンが「私の政策を叩くより、自分の政策を」と、話を中身に持っていこうとすると、彼女お得意の「ユーロになってから経済が悪化した」を繰り返す。
「ユーロ離脱」から最近「フランとユーロ2本立て」に軌道修正した(経済学者は口を揃えて「不可能」)マリーヌに、
「フランスのチーズ製造者でさえ、原料の一部はEU諸国から買っている。経営者が輸出入や原料購入はユーロで、給料はフランで払うなんて実現不可能」とマクロン 。
マリーヌはマクロンが話している間、軽蔑的なせせら笑いを浮かべ(時には声を出して笑い)、私だったら(そういう可能性は皆無なんだけど、彼女のような態度をされたら、ということ)掴みかかっていた。
動作&表情の分析家は、あれは困ったときの虚勢の笑いと言うけど、苛立つことに変わりない。
そして彼女が5分おきに繰り返すのは、
「あなたは最低の支持率を記録したフランソワ・オランドの“精神上の息子”。オランドは一日2回“マクロンに投票しろ”と言ってるじゃないですか。ホホホ・・・」
マクロンも「あなたは“すべてを否定し批難する”極右の後継者、ジャン=マリーの娘だ。批難だけで政策がない」と応酬。

「めちゃくちゃ」「バカなことを!」「ウソつき!」・・・など、子供の喧嘩か?と言いたくなるセリフが飛び交った。
討論の最後、それぞれ好きなテーマで締めくくりを、と言われたときも、マリーヌは「あなたはフランソワ・オランドと経済界の手先」とせせら笑い。
直後に行われたアンケート調査では「マクロンの勝ち」が3分の2。
投票意思のアンケートでもマクロン60%、ルペン40%。だけど40%のフランス人があのマリーヌ・ルペンに投票する、というのが問題だ・・・


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20日、シャンゼリゼ通りで犯人に打ち殺された警官、グザヴィエ・ジュジュレの追悼式典が25日に行われた。
オランド大統領の言葉の後「コンパニオンが追悼文」とニュースで聞いて、彼が、男性と暮らしていたとわかった。
同性の結婚を認める法案を通したのは、批判の多いオランド政策の中で評価される功績だ。

シャンゼリゼ通りで銃殺された警官を称える式典

シャンゼリゼ通りで銃殺された警官を称える式典

エチエンヌ・カルディルという伴侶が、何度も声を詰まらせながら読んだ追悼文には涙が出た。娘も「最後まで聞けなかった」
全文ではないけど:
「グザヴィエ、君はあの日、シャンゼリゼ通りの公衆の安全を守る任務を与えられた。102番地、トルコ文化会館の前。この種の任務が君は好きだった。シャンゼリゼはフランスのイメージ、あなた達警官は文化も護っているのだ。
その時、最悪のことが起こった。誰もが憂いているけど、絶対起こらないと思っている事態。君は銃撃に倒れた。・・・・・
その晩、私はひとりでうちに帰った。激しく深い苦痛とともに。これがいつか癒されるのかわからない。この痛みは、これまでになく君の同僚たちに近づけた。君と同じように黙って苦しんでいる同僚たちに。
私の苦痛に憎しみない。何か月か前に読み返したアントワーヌ・レリス(バタクランで妻を殺されたジャーナリスト)の言葉。僕を成長させ、そして今日は護ってくれる言葉:犯人を私は憎まない。
なぜなら憎しみは君に似合わない。君を任務へと駆り立てた情熱に似合わない・・・」

3日後、なかなか発言の機会がない父、ジャン=マリー・ルペン父が突然口を開いた。
アララ、首がなくなっちゃったじゃない・・・

ジャン=マリー・ルペン

「あれは殉職した警官へのオマージュじゃなくて、ホモセクシュアルへのオマージュかね?」
!!!!
「警官の彼氏の出席と、あの長々とした演説は、同性の結婚を制度化してしまうじゃないか」

娘マリーヌがせっせと脱悪役を図り、父を追い出し、自分は「国民戦線の立候補者ではない」とか言って、イメージアップしているとこへ・・・まるで、娘が壁を白く塗り替えたのに、ひびが入って地の色が見えちゃうみたいじゃない。結局マリーヌもジャン=マリーも地は一緒なんだ。
でも今度だけは父大歓迎。あと1週間、せいぜい暴言を吐いて、娘の脚を引っ張ってくれ!


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プロフィール

Author:長谷川たかこ

この国に住もう!と決めたのは13歳のとき。それが実現したのは10年以上経ってから、それから30年の月日が流れました(計算しないで!)
現在フレンチ・コード主宰。訳書多数、著書3冊。夫1人、子供2人、猫2匹と暮らす騒がしい毎日。映画と料理とデビッド・ボウイが趣味。


長谷川たかこ

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