Category : パリ雑記

迷える小包

コリシモ(郵便局の小包宅配便)の不在届通知が入っていたのは1月3日。宛名はTakoko。「5日からバスティーユの郵便局に取りに来い」と。その郵便局は歩いて5分だから、その足で置いてくれればいいのに、と思うけど、集配所に一旦戻すとか決まりがあるんでしょうね。
それはまぁいいとして、5日の夕方取りに行くと、追跡番号を叩いて、
「そんなものは届いていない」
「だって不在通知に書いてあるでしょ」
「僕が書いたわけじゃないから」
「・・・」
「苦情係に電話してみて、はい番号」

翌日その番号に電話し、さんざん待たされたあげく出てきた男性に、こうこうこういう訳で、と説明すると、
「今、調べますね・・・小包はバスティーユの郵便局に届いています!」
「だから行ってもなかったって言ってるでしょ」
「では捜査願を出しましょう。お名前は?」
「それが・・・」
名前はTakokoしか書かれていなかったので、日本の苗字が書かれていたか、フランスのだったかわからない。しばし迷い、日本から送られた確率のほうが高いだろうと日本の苗字を言う。
「あなたの捜索番号はxxxx。48時間後にまた電話してください」

2日後に電話したら、またさんざん待たされたあげく、
「小包はサン・ルイ島の郵便局に保管されています」
「!?なんでサン・ルイ島?」
「前に住んでいたとか?」
「全然」

翌日、サン・ルイ島の言われた住所に行ってみると・・・そこに郵便局なんてない!
公共サービスは時にシュールだけどこれは前代未聞。向かいの薬局に、
「この近くに郵便局ありますか?」と尋ねると、
「かって郵便局があったけど、今はタバコ屋カフェになっていて、そこが小包を預かってるの」
人口200人の田舎町じゃあるまいし、パリのど真ん中でそんなことが行われていたとは!
タバコ屋カフェの主人は中国人で(ますます増えている)フランス人よりてきぱきと、タバコやガムや宝くじを売り、コーヒーを淹れ、その合間に追跡番号を調べてくれた。
「ないね」
ウソ・・・

1月3日に配達された小包に2度と出会えないような気がしてきた。
一体誰が何を送ってくれたんでしょう?その“誰か”は私がウンともスンとも言わないので、心配しているか、礼儀知らずと憤慨しているはず。中身が生鮮食品だったらどうしてくれる?

その週は慌ただしくて、再び電話したのは1週間後だった。
「差出人に聞いてみてください」
「不在届通知には差出人の名前どころか、どの国から来たのかも書いてないのに、誰に聞けって言うんですか!?」
心当たりの人に片っ端からメールして「もしかして何か送ってくれました?」なんて聞けないわよ。
「では新たに捜索願を出しましょう。新たな捜索番号はxxxx」
電話を切って間もなくメールが送られてきた。
「あなたの小包の捜索願を受け取りました。つきましては差出人に連絡してみてください。差出人は捜索に必要なデータを保持している可能性があり・・・」
最後まで読む気もしなかった。


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メトロでひとり笑い

音楽を聴くのに飽きて、ぼんやり車内を眺めていたら・・・
車両奥の座席に座っていた中国人女性がすっくと立ちあがり、向かい側で居眠りしていた男性を揺さぶり起こし、自分だけドアのほうに向かった。目を覚ました男性は慌てて女性の後を追う。ドアが開き2人が降りた、かと思うと、男性がダダダっと駆け戻ってきた。隣の席に子供が眠っていたのだ。彼は子供をひっ抱えて走り降りた。アララ・・・子供忘れちゃダメでしょ!クスクスと笑ったのは私だけじゃない。それにしても先にさっさと降りた女性が母親ならヒドくない?

・・・この話をしたら、夫が「僕もあった!」
ある駅で初老の男性が乗ってきた。「65歳くらい。歩き方もしっかりしている」
そしたら同じ年くらいの女性がさかんに手を振って「ここに座りなさい」という身振り。男性は無視。女性は諦めず手を振り続ける。ついに男性は女性の前まで行き、
「私と同じ年か、いや多分年上のアンタに席を譲られる理由はない。余計なお世話だ!」と一括。「その剣幕に車内が一瞬シーンとなった」と夫。オバ(ア)サンはもちろん唖然。

フランスで65歳以上人口が20%近くなったけど、席を譲るのもなかなかデリケート。夫は「妊婦と思って席を譲ったら、そうじゃなかった」ことが何度かあり、譲るのをやめたそうだ。

メトロと言えば、東京の電車&メトロの不思議のひとつ:居眠りしていた人が、自分の駅が近づくと奇跡的に目を覚まして降りる。「眠っていてもアナウンスは聞こえている」「日本人は、自分の降りる駅を本能的に察知する( !?)」などの説があるけど、最近聞いたのは、「実は乗り越している人が多い。でも日本人は“ヤバい!乗り越した!”を全く顔にださないのでわからない」
これはかなり当たってそうではないですか。


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プレイバック年越し

-イカとネギの酢味噌和え
-薄焼き卵の信田巻き
-寄せ鍋
年越しのメニューはこう決めた。友人夫婦2組を呼んでいるから全部で6人。

31日の朝市は予想以上の人出で、魚屋3件でイカは売り切れ。八百屋に行けばネギが売り切れ。
その理由:今年はクリスマスの週末と学校の休暇の始まりが重なって、パリの住民の多くが実家に帰り、24日の朝市はいつもよりずっとお客が少なかった。そこで31日はいつもより少なく仕入れたところ・・・「クリスマスに出かけた人たちが意外と早く帰ってきて」品物が足りなくなった。つまり2日とも読めなかったってことね。
イカはピカールで、ネギは朝市とは全く反対方向の商店街に行くことに。

巨大イカの輪切り。茹でて冷凍しているので、自然解凍すれば柔らかくて(ゴムみたいじゃなくて)美味しい。4.95ユーロ!
ピカール、イカ

その上、パン屋にではバゲットが売り切れ。次に焼けるのは午後3時ごろと言われた。
鍋なのになぜバゲットかというと、日本のご飯を食べても“〆はチーズ”というフランス人が少なくないから。それはいいとして、握りずしを食べながら「バゲットはないかね」と言った義父にはぶっ飛んだ。

午後は信田巻きを作って、残りは肉団子に。薄焼き卵で巻くので、煮ないで蒸す。
どこで仕入れたか忘れたこのレシピはお客メニューのひとつになっている。

信田巻き

寄せ鍋の土鍋を探し始めたら、どこにもない。夫も動員し、キッチンの隅々、物置きやカーヴまで探したけど、
「あんな大きいものがなくなるわけがない」と夫。
「割ったんで捨てた?」
「だったら覚えてる」
「もっと大事なこと忘れるじゃない」
「??」
「あたしの誕生日とか」
喧嘩になりそうなとこへ息子が現れる。
「土鍋、どこ探してもないの・・・」
「京子で売ってるよ。まだ開いてるしダッシュ!」
息子は修士論文を書きながら日本食品店「京子」でバイトしている。親に営業しないでよ。
ダッシュなんて時間も気力もない。ステンレスの大鍋で作ることにした。中身は海老、あんこう、鮭、豆腐、白菜、ほうれん草、シイタケ、しらたき・・・

土鍋があった場合の想像図。

寄せ鍋2
(写真はネットから拝借しました)

朝市の売り切れと鍋探しで大幅に時間を取られ、20時で準備は80%であった。友人たちには21時と言ってある。
あと1時間、大丈夫、と思ったらベルが鳴って、郊外に住む友人夫婦1が立っていた。ヤダ・・・
「道がガラガラで12分で着いて、駐車する場所が一発で見つかった」
私の計算では、車で30分、駐車するのに15分=45分だったのに。
一方メトロで来る友人夫婦2は遅れてきて、彼らが“シャンパン担当”だったので、みんな辛抱強く酒の到着を待つことに。

ご飯はどれも好評できれいになくなり、たくさん飲んで、笑った。
鍋が空っぽになったころちょうど零時になり、シャンパンをもう一本開け、キスをし合って新しい年に突入した。
みなさんご健康で、良い年になりますように!


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殆どタダの朝市

夫が不在で、娘は友達のうちに泊まりに行ってまだ帰ってこない。
ロベールをお伴に朝市に行こうと思ったら、「今、ご飯食べてる」
「じゃ食べ終わったら市場まで来て」
と私はひとりで魚屋に向かった。
鮭やカジキマグロを買って、お財布を出すと ・・・クレジットカードがない !! うちを出るときちゃんと確認して、お財布はキャディの底に入れたのに・・・どうやって盗めたの ?? 仕方なく現金で払い、さてどうしよう?
朝市はチェックを断る店が増えていて(不渡りの危険)、肉屋、魚屋はカードで払う。つまり現金はそんなに持っていない。
私はチェックを取りに一旦うちに戻り、ロベールを連れ、歩きながら銀行に電話してカードの差し止めを頼んだ。

「どうやって盗んだの?」とロベール。
それが謎・・・魚屋の前はいつもお客が群がっていてキャディもゴチャゴチャと錯綜している。私のキャディに手を突っ込んだ人がいても、誰も気づかなかった・・・そうに違いない。
「現金は取られなかったの?」とロベール。
「それが不思議。私なら現金を取るけどね。だってカードは3度暗証番号を間違えるとブロックされるでしょ」
「でもsans contactで買える」
私はロベールの顔を見た。よく知ってるわね。最近端末に近づけるだけでいいカードが増えている。でも限度額は30ユーロ。

肉屋に赴き、
「チェックで払っていいですか?さっきカードを盗まれたとこなの」
「ええ!そりゃ災難だ。次回払ってくれればいいですよ」
と肉屋のオジサン。
私は子牛や挽肉を買い、ロベールが「シポラタが食べたい」というので2本買い、
「じゃ次回払います。ありがとう!」と言うと、
「まだ買い物があるでしょう、はいコレ」
と50ユーロ貸してくれた。
ロベールはシンジラレナイという顔。
「どうして50ユーロもくれたの ?!」
「くれたんじゃなくて、貸してくれたの。親切ね」

八百屋でも同じ。「払うのはいつでもいいよ」と言われ、野菜や果物を選んでいると、
「シポラタ、今食べていい?」とロベール。
シポラタは、子牛や豚の挽肉のソーセージだ。

シポラタ

「焼かないと食べれないわよ」
「ボク、生のほうが好きなんだ」
「ウソ・・・生で食べたことあるの ?! お母さん、いいって言うの?」
「もちろん」
「後で気持ち悪くなっても知らないわよ」
「なるもんか」
ロベールは買ったばかりのシポラタを美味しそうに食べだした。
シンジラレナイ・・・

「みんな君のこと知ってるからタダでいいの?」
「行きつけのお店にしか行かないから仲良くなったの。おまけしてくれるし、色んなこと教えてくれる」
そういえば祖母も魚屋さんと植木屋さんが親友だった。
その後は夫が行きつけの生ガキ屋とニシン・バーに寄って現金で払う。

グラスワインと生ガキをその場で味わう人も

パリの朝市 生ガキ屋

ポーランド人が2年前に始めて大繁盛のBar à Hareng/ニシン・バー。
色んな野菜とマリネにしたニシンが10種類くらい並ぶ。

パリの朝市 ニシン屋

ロベールは、「げーっ不味そう!」を連発。
「そういうこと言わないの!好きな人も(私とか)たくさんいるし、第一お店の人に悪いでしょ。シポラタ生で食べるほうが気持ち悪い」
と言うと、やっと黙った。

帰り道、ロベールは買いたい電動キックスケーターのことを熱心にしゃべり、うちに着くと8ユーロ受け取って帰って行った。10ユーロは高すぎると交渉して1時間8ユーロになったのだ。

カードを盗まれた怒りより、市場の人の親切と生シポラタの驚きが残った。


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拡大するセクハラ抗議

11月1日公開になる最新作『D’après une histoire vraie/実話にもとづいて』と連動して、パリのシネマテークで始まるロマン・ポランスキーの回顧映画祭。
ポランスキーと言えば1977年、アメリカで13歳の子役に性的行為をした嫌疑で有罪判決になり、一時釈放のとき国外脱出してフランスに移住している。40年前のスキャンダルがハーヴェイ・ワインスタイン事件で蘇り、シネマテークには「回顧映画祭を止めろ」と叫ぶフェミニズム運動家が集まった。

「強姦がアートなら、すべてのセザール賞をポランスキーにやれ!」

ポランスキー回顧映画祭に抗議
photo:lemonde.fr

ポランスキー回顧映画祭に抗議
photo:nouvel obs

「作品とアーティストを切り離せ、というのはわかるけど、ポランスキーはまだ生きている。彼の作品を観ることには反対しないけど、彼を称える映画祭はやめてほしい。ベルトラン・コンタ(DVでパートナー、マリー・トランティニアンを殴り殺した歌手)と同じ。彼のディスクを買うのはウィ、でも彼が雑誌の表紙を飾るのはノン。ポランスキーの回顧映画祭は、我慢のならないことを我慢しろ、というメッセージの政治行為」
と明確に理由を言う運動家は説得力があるけど、上半身裸で叫ぶ人たちは逆効果な気がする。

「ポランスキーの作品は、私たちの世界、映画というアートを理解するため、これまでになく不可欠だ。不当な同一視からくる圧力で、回顧映画祭を中止しようとは一秒たりとも思わなかった」とシネマテークのプレジデント、コスタ-ガヴラス。映画祭は予定通り始まった。

作品とアーティストを切り離せ・・・映画『ゴーギャン:タヒチの旅』が9月末封切りになったときも、ゴーギャンが最後のタヒチ生活で13歳の少女テフラと暮らしていたことが取り沙汰された。本人が生きていないからそこで止まったけど、一方テフラをモデルにした作品は高く評価されている。

この週末、海の向こうでは俳優アンソニー・ラップが14歳のとき、ケヴィン・スペイシーに性的ハラスメントを受けたと告白し、スペイシー主演の人気TVシリーズ『House of Cards』のプロデューサー(Netflix)はシリーズを打ち切りにすることに決めた。
『ユージュアル・サスペクツ』『アメリカン・ビューティ』など実力派の名優に、わいせつ行為の謝罪を、同性愛の告白にすり替えたと非難の雨。確かに、同性愛とペドフィリアを一緒にするのはヒドイ。

とにかくハーヴェイ・ワインスタイン事件は、今まで“業界の人は知っていたけど口を閉ざしていた”有名人のわいせつ行為を明るみに出した、という皮肉な“功績”。

この日曜日、パリや他の大都市で #Me tooのデモがあり被害者たちに「もう黙るのはやめよう」と呼びかけた。

me tooデモ
photo:ouent-france.fr

会社で「その服、似合うね」と言ってもセクハラになるアメリカとは違うけど、フランスの場合、口説く→相手がのってこない→セクハラに変身、という構図が少なくないそうだ。つまり「え?ただ口説いただけだよ」という逃げ道がある。線引きが難しいのだ。


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プロフィール

Author:長谷川たかこ

この国に住もう!と決めたのは13歳のとき。それが実現したのは10年以上経ってから、それから30年の月日が流れました(計算しないで!)
現在フレンチ・コード主宰。訳書多数、著書3冊。夫1人、子供2人、猫2匹と暮らす騒がしい毎日。映画と料理とデビッド・ボウイが趣味。


長谷川たかこ

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