Category : パリ雑記

初めての生徒さん2

日本語の生徒さん、ナタンはいつも約束の時間ぴったしに、殆ど時報と同時にやってくる。
30年来、こんなフランス人は初めて出会った・・・あなた、ほんとにフランス人?

ついに「どうしていつもきっかりに来れるの?」と聞いたら、
「早めについて周囲を歩き回ってます」
「 ?!」
そういえば、ある晩うちに向かって歩いていたら、ナタンそっくりの男子にすれ違った。あれは本人だったのね。

彼のお父さんは数学者、お母さんはお医者さん、彼は数学専攻。理数系は時間励行?なんてバカな考えが浮かび、
「ご家族みんなそうなの?時間に遅れるとうるさいとか?」
「いえ、全然。ぼくは人が遅れてくるのが耐えられない。だから自分が遅れそうになるとすごいストレスになります」
「友達と待ち合わせするときも早めに行くの?」
「はい、約束の時間の15分前に行きます」まずますフランス人じゃない。
まずますフランス人じゃない。
「もっと待つことになって、もっとイライラしない?」
と聞くと、突然マンガみたいな顔になって、
「ううん、自分で勝手に早く来たんだから、がまんしゃちゃう」
すぐにもとの真面目な顔に戻った。ヘンな子。

彼はカタカナを書く時、指を折って数を数える:「チ」だったら、「1、2、3、4列目の上から2番目だから・・・チ」
頭の中に表ができてるらしい。よく数え間違える。
うちは全員、夫の家族まで文系なので、これも理系の思考法なんだろうか?と思ったり。関係ないか。
そのくせ「今、何月ですか?」と(日本語で)聞くと、ポカンとマンガの顔になって、指を折り始めるし、年が変わったのが頭に入るのは4-5か月後だという。つまりナタンはまだ2017年にいる。


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自業自得でなった病気

寒気+身体の節々が痛い=インフルエンザ?
でも喉は痛くないし咳も出ないので、ときどき鎮痛剤を飲んでいた。
そしたら3日目の日曜日大変なことになった:熱が上がり、身体中が猛烈に痛くなり、震えが止まらなくなった。
“身体が震える”のは初めての体験で、自分の身体じゃないみたい。『エクソシスト』のリーガンを思い出す。
痛みと震えでのたうちまわったいると、夫が「SOSメディサンを呼ぼう」
病状を説明するのに受話器が持てないくらい手が震えた。
あまり病気しないほうだけど、なんか大変な病気になったんだろうか?

震えと痛みが少し治まった頃やってきたSOSメディサンは、症状を見て、
「今オシッコできますか?」
「はい」
「2滴でいいですけど」
「2滴以上出ます」
それにリトマス試験紙みたいなのを浸したら紫色になった。
お医者さんはクイズに正解したように勝ち誇った声で、
「やっぱり!Infection urinaireです」尿路感染症。
ああ、そういえば。1週間くらい前から「もしかして膀胱炎?」という雰囲気があったけど、そのままにしていた、のが間違いのもと。感染が腎臓のほうまで上ってしまった。
「ラボラトリーを呼びますからこれこれの検査をしてください」
「えっ?ラボラトリーが来ちゃうんですか?」大きなトラック・ラボがやってくるイメージが浮かぶ。
「今日は日曜で全部閉まってます。明日まで待ちますか?」
いえいえ、エクソシストの震えは2度とごめんです。検査の前に抗生物質を飲み始めると、結果が違ってしまうそうだ。

2時間後に現れた“ラボラトリー”は黒い鞄を下げた若い女性。血液と尿を採取して、
「結果は後ほど医師に送られ、彼から電話があります」
すばらしい。
深夜や休日の救急医、SOSメディサンは子供たちが小さい頃何度か呼んだ。殆どの先生が大量の薬を処方するので「こんなに飲ませていいの!?」と懐疑的だったけど、今回見直したわね。ラボラトリーまで移動しちゃうし、夜はちゃんとさっきの先生から電話がかかってきた:やっぱり尿路感染症です。抗生物質を忘れずに10日間飲みなさい。

とにかく、自ら招いた病気だ。
寒気+節々の痛み=インフルエンザと自己判断してはいけない。「もしかして?・・・」と感じた時は放っておいてはダメ。
この病気は女性に圧倒的に多いそう。私の失敗をご参考にご用心ください!


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車椅子の少年は

私の前を車椅子の少年が進んでいる。最近よく見る電動じゃなくて、手で車輪を回すタイプ。まだ慣れないらしくジグザグ運転だ。歩道でおしゃべりしている人たちは、車椅子を見ると慌てて道を空ける。

よく見ると、少年の後ろ姿に見覚えがあった。カーキ色のコートにも。
駆け寄ってみると、果たしてロベール。
「どうしたのよ!」と言うと、メガネの奥から私を見上げて、
「スキーで転んだ」
「ヤダ・・・・」
でも脚にはギブスもないし、松葉づえも持ってないじゃない、という私の顔を見て、
「ハハーッ冗談だよ」
もーっ!
でもこの前の”冗談”、「誘拐されてる、4階!」よりマシだわ。
「その車椅子?」
「道で拾ったんだ。捨ててあったみたい」
道にそんなもの捨てるかね。
「ねぇ、ちょっと押してくれる。なかなか進まないんだ」
私は、五体満足のロベールの車椅子を押す羽目になった。けっこう大変。力がいる。なんでこんなことしてるんだ?
「頼むとみんな押してくれるんだよ」
そんなことして遊んでるの!
「キックスケーターよりずっと遅いじゃない」
「あれ、盗まれちゃったんだ」
アララ、それで新しい乗り物を見つけたのね。
うちのアパルトマンの前まで来て、
「ここで止めて」
「あら、なんという偶然!同じとこに住んでるの?」という私のつまらない冗談に、ロベールはケラケラ笑い、車椅子から飛び降りる。
「押してくれてありがとね!」
と、怖いお母さんのいるうちに帰って行った。


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初めての“生徒さん”

「知り合いの子が日本語の先生を探してるんだけど、誰か知ってる?」
と友達に聞かれ、誰かいたっけ?・・・と少し考えてから、自分が日本語教師養成講座に通ったことを思い出した(忘れるほうがどうかしている)
「あたしもできるけど」と答えた翌日、大学生の男子から電話がかかってきた。彼は去年1か月日本を旅行してすっかりハマり、日本語をマスターして、ゆくゆくは日本で仕事がしたい。
日本語学校もあるけど、と言うと、まずは個人授業で基礎を学びたい。ほんならと、週一回夕方6時から教えることになった。

6時きっかりに現れたのは、21歳の小柄な青年、ナタン君。大学で数学を専攻している。日本語はひらがなが書ける。
教科書は「みんなの日本語」を使って、漢字を毎回1ページずつ、少し経ったら短いディクテ・・・「これでいい?」「トレビアン」ということで初めて先生になった。
いや、よく考えると初めてじゃない。大学生の頃、高校生の女子にフランス語を教えていた。やる気がなく勉強しない子で、仕方なくテストの前にカンニングペーパーを作るのを手伝った。急にテストの点が上がってお母さんが喜び、当人はニヤニヤし、私は複雑な気持ちになったっけ。ワルイ先生・・・

ナタンは真面目で、質問もたくさんするし、自分の子供に教えるのに比べて何てラクなの ?!
娘はすごく不機嫌になるし、息子は「日本語は論理的じゃない」という持論をとうとうと述べるし、よくケンカになっていた。

ナタンの当面の目標は『ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか』の原作を日本語で読むこと。
日本で買ったという文庫本を見せてもらったら、文字ぎっしり、漢字もかなりあって、これはハードルが高すぎない?
英語版アニメを観たからストーリーは知ってる、とは言っても
「何が書いてあるかわからないでしょ ?」
「1ページに2つくらいわかる言葉があります」
それでも“読む”意味があるの?と言いかけてやめた私に、
「メトロでこの本読んでると、周りの人がちらちら見て『オッ!こいつ日本語の本を読んでる』という顔をするから」とニタリ。
一瞬ののちには真面目な顔に戻って練習問題の続きをやり始めた。


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農業市は大統領と生産者の出会いの場。就任後はじめての農業市にエマニュエル・マクロンは朝7時半到着という気合の入れよう。他国から入って来るより安い農作物や肉類のために収入が減っている農畜業者たちは、“金持ちのための大統領”に不満と不信を隠せない。2017年秋の統計によると、彼らの30%が月収350ユーロ(約4万7000円)に満たない。これじゃ食べていけない・・・

とりわけ穀物栽培者はGlyphosate/グリホサート(除草剤)の使用がフランスで禁止されるのに反対。ヨーロッパの他の国(日本でも)では使われているし、禁止後の代替え案も出されていないと、ヤジやブーイングで大統領を迎えた。
マクロンは最初はにこやかに「遠くから叫んだりヤジったりする代わりに、近くに来て冷静に話しましょう」
それでもブーイングが止まないので、「グリホサートが無害だと言っている報告書はない、極めて危険かほどほどに危険というレポートばかりです。・・・・・かってアスベストは危険ではないと言われていた。当時の指導者たちはアスベスト被害者たちに釈明すべきだ。明日、生産者や消費者から“グリホサートが危険だったと知っていたのになぜ何もしなかった?”と抗議されるのは私だ。あなたたちに文句を言いには行きませんよ」
と、マクロンは特にアグレッシヴな穀物生産者を指さして詰め寄った。

エマニュエル・マクロン 農業市
photo:ladepeche.fr

「おっと、僕たちは冷静だ、落ち着いてください」
落ち着けと言われてマクロンは更に苛立った。
「ノン!ちょっと待った、あなたたちが冷静?ノンノン、さっきから私の背後でヤジを飛ばしているのは誰ですか?」
危ういとこでマクロンは鎮まり「背後からヤジられるのは好きじゃないので怒鳴った。あなたに会いに行きますから説明し合いましょう」

「君はヤジったりしないよね」

エマニュエル・マクロン 農業市
photo:l'express

2013年、就任後はじめての農業市に赴いたオランド大統領は、10時間いて最高記録を作ったけど、あちこちのスタンドで試食している写真ばかりだった。

フランソワ・オランド 農業市
photo:ouest-france.fr

「ニコラ・サルコジは見たことない」という子供に、「もう見ないよ」という返事も有名だ。
7時半に到着したエマニュエル・マクロンは夜の7時半退場=12時間!で記録更新。生産者と話し合って(口論して?)いる写真が多い。
サロンはヴィジターで2時間フラフラしても疲れるのに12時間・・・若いって何かしら?マクロン!


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プロフィール

Author:長谷川たかこ

この国に住もう!と決めたのは13歳のとき。それが実現したのは10年以上経ってから、それから30年の月日が流れました(計算しないで!)
現在フレンチ・コード主宰。訳書多数、著書3冊。夫1人、子供2人、猫2匹と暮らす騒がしい毎日。映画と料理とデビッド・ボウイが趣味。


長谷川たかこ

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