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8月の長い週末:ベルリンの壁

着いた日の午後、さっそく壁の残りを見に行く。
ベルリンにはS(電車)とU(メトロ)が走っている上、トラムウェイとバス。一日何でも乗り放題券が7ユーロだ。ところが自動販売機はマスターカード(持っていない)とコインしか受け付けない。7x2=14ユーロもコインはないよ。自動販売機の前に並んだ旅行者たちもみんな必死でコイン探し。仕方なく駅から出て、近くのサンドイッチ屋でミネラルウォーターを買い、コインをゲット・・・このコイン争奪戦、去年の夏もやらなかったっけ?あれはクロアチア、ここはドイツの首都ではないか、メルケルさん・・・

Nordbahnhof(ノルドバーンホフ)という駅を降りると、見物人もあまりいない、寂しい風景の中に壁の名残り。
歴史的建造物になっている。
ベルリンの壁

ベルリンの壁

その前にある“壁メモリアル”でフィルムを観た。1961年、東ドイツによる壁造りの映像から始まって・・・でも説明がドイツ語なので全然わからん。夫は自分が観るのに夢中で訳してくれない。仕方ないから映像だけ。東と西の境界ゾーン、No man’s land(無人地帯)の見張り台では始終、兵士が見張っていて、誰かが壁に触ろうものなら、すぐトラックが駆けつける。1989年の崩壊まで、愚かで悲しい歴史の一コマ。
「東から西に亡命しようとした約1600人が殺されたんだって」最後に夫が訳してくれたのはこれだけ。後でウィキペディアを見ると、「射殺されたのは192人で以外と少ない」。後者を信じたほうがよさそうだ。この国では全く”Lost in translation”・・・

この後に行った、ベルリンのあちこちに壁の記憶が残っていた。
お土産物屋で壁のかけらが売られていた。なんの変哲もない2㎝四方のセメントが4.5ユーロ。すでに壁の4倍に当たる“かけら”が売られたとか!しかも《made in China》・・・買わなくて正解だった。

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8月の長い週末:ベルリン

息子と娘がそれぞれ友達と滞在して、大好きになったという街、ベルリンを、
私は「壁のある時しか知らない」
夫は「壁のできる前に行った」
子供たちは、まるで紀元前の生き物に出会ったような顔をした。
そこで壁が崩れた後のベルリンへ。進化した生き物になるために。

パリから1時間15分。正午にTegel空港に着いた。ヨーロッパ一の経済大国首都の大空港を想像していた私はちょっとびっくり。

ベルリン空港2

寒い上に雨が降りだして、いつも南へ南へと行きたがる私が、北の都市に来たんだわ・・・そこへ、借りたAirb&bのオーナーから電話。カギの受け渡しを心配していたところだ。なかなかちゃんとしている。
「今、着いたとこです」(英語)
「じゃアパートメントに着くのは1時半くらいだね。カギを〇〇の中に入れておくから」
〇〇は”セーフ”のように聞こえるけど、セーフって何だ?聞き返すと、同じ言葉を繰り返し、
「誰か英語の話せる人はいないの?」
「!?」私が話したのは何語だっていうの?
突然、夫がドイツ語を話すのを思い出し、電話を押し付ける。彼は流暢なドイツ語でけっこう長く会話していた。
「何の中だって?」
「わからん」
「・・・・」
ま、行ってみればわかるだろう、とバスとメトロを乗り継いで、アパートメントにたどり着いた。
扉の前には、よくある隠し場所の植木鉢もないし、電話して聞くしかない、と言っていると、隣のお店のおばさんが、柱の陰に隠れている黒い箱を指さす。その箱を彼らは”safe”と呼んでいるのだ。そのとき、SMSで4桁のコード番号が送られてきた。コードを押すと、魔法のように箱がパカッと開き、中にカギが入っている。スパイ映画みたい!

興奮して中に入ると、コミュニスト時代の建物によくある、広くて殺風景なホールだ。なるほど、この地区は元東ベルリン。

アパートメントのサロン、明るい。

ベルリンAirb&b

真っ白な寝室。

ベルリンAirb&b

広くて清潔で、ロケーションもいい。一泊90ユーロ。欠点は、鎧戸がないので朝6時に目が覚めること・・・

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娘の東京便り

スカイプに現れた娘は、シェアハウスのキッチンで、泣きながら玉葱を刻んでいるとこだった。
「メガネかけてても涙が出るの?」
「日本の玉葱って強烈なのよ」(それは初耳)
「なに作ってるの?」
「スパゲッティ・カルボナーラ」
「友達できた?どこの国の人がいるの?」
娘は玉葱を切り(泣き)続けながら、「カナダ、ドイツ、英米、タイ、中国、南アフリカ・・・みんな英語が上手で、とても親切。帰りたくないくらい・・・」(おお!)
「つまりワタシは昼間、日本語話して、夜は英語話して、それが時々混ざって、アタマの中グチャグチャよ」
「日本語は少しマシになったの?」
「研修先でずいぶん上手くなったって言われた。でも買い物が大変、漢字やカタカナが多くて・・・ところで“海の鶏”って何?」
「海の鶏 ??・・・あ、シーチキンね、マグロのことよ」
「うそ!日本語はタダでさえ難しいのに、なぜ“海の鶏”なんて呼ぶの?素直にマグロって言えばいいのに・・・ブツブツ」
確かに、なぜシーチキンなんだろう?肉質が似てる?
「・・・ご飯作って、お皿洗って、ゴミ出して、洗濯して、買い物して・・・つまりウチじゃやらなかったことをやってるわけ。成長するわけよ」(自分で言ってれば世話はない)
「それからゴキブリ!」
「あ、いるだろうね、建物古いし」
「トイレに入ったら、巨大なのがいたの、叫んで便器の上に避難して10分間降りて来れなかった」
フランスのゴキブリはずっと小柄で(私の知る限り)飛ばない。
玉葱とベーコンを刻み終えた娘は「じゃーね!」と視界から消えていった。

「2ヶ月もいるの?」「友達ができなかったらどうしよう・・・」
私が発つとき泣き言をいっていたのは誰だ?、「帰りたくない」なんて。まさに“やったぜ!”だ。

同時に一抹の寂しさ。メアリー・ポピンズの『ジョンとバーバラの物語』のムクドリみたいに・・・
生まれたばかりの双子、ジョンとバーバラは、窓辺に飛んでくるムクドリの言葉がわかった。ムクドリは時々やってきては双子とのおしゃべりを楽しんでいた。ところがある日、窓に来てみると、双子は(成長して)もうムクドリの言葉がわからなくなっていた。
寂しさを隠せないムクドリ。
「アンタ、泣いてるの?」とメアリー・ポピンズ
「いや、ちょっと風邪を引いてるだけさ」
いつ思い出しても素敵なお話・・・


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朝ごはん:抹茶ソフト

発つ朝、11時の便だったので早く出た。寝ぼけ眼の娘に、
「ここに好きなだけいて、鍵は中に置いてドアを閉めてね」
「それ、もう2回言ったでしょ」
「・・・・」(親は同じことを何度も言う生き物だ)

あの陰気でかび臭いシェアハウスに娘を置いていって、落ち込まないかなぁ、と考えながら、レインボーブリッジから東京の街に見とれた。霧雨にかすんで墨絵のように立つ超高層ビルは、SF映画のように美しい。
羽田について携帯を返し(請求書が楽しみ!)旅先から絵葉書をもらうのが趣味の従兄妹夫婦に手紙を書く。いつも最後で思い出し、ひどい時はパリの空港で投函した。朝から何も食べていなかったので、どこかに入ろうか・・・
羽田の4階は『江戸小路』という江戸時代の町並を再現したフロアでレストランやお店が並んでいる。お寿司屋(お寿司は食べ損ねたけど、朝10時にはちょっとね)、うどん屋、焼肉屋、らーめん屋・・・和風喫茶の抹茶の緑に心惹かれた。
朝ごはんは抹茶ソフト!これで心残りはない。

12時間飛んでロワシー空港に着く。日本からずいぶん遠くなってしまった、と自分の携帯をつけると、娘からメール:今夜は住人5人と食事をして、すごーく楽しかった。
第一、夫にシェアハウスの話(悪口)をすると、「Ah bon ?」だけ。
息子にいたっては「あいつ贅沢好みだからな」
母親だけが余計な心配をする・・・損な生き物だ。

駆けつけて迎えてくれた猫たち。間もなく「もうどこにも行くな」の“座り込み”。
この国では猫までストをする・・・

タマ&リュリュ、スト


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「自分の羽で飛び立たなくちゃ」

娘のシェアハウスがちょっと陰気で、部屋がかび臭いのも気がかりだけど、何より不思議なのは、誰ともすれ違わないこと。靴箱に靴はたくさんあるのに、声も音楽も聞こえず、ひっそり静まり返っている。
翌日、近くのスーパーで調味料や野菜や買い込む。自分で買い物するときは気づかなかったけど、娘の目で見ると、わかりにくい漢字で溢れている。「賞味期限」「保存期限」「値下げ除外品」「〇〇県特産」・・・
肉の部位もフランスのそれと対応していないみたい。

例えば日本の豚さん
豚肉の部位

フランスのコションはより細分化されている。

豚肉の部位 フランス版

可笑しいのは日本の部位図のブタがみんな左を向いているのに、フランスではほぼ全員右向き。理由があるんだろうか?日本のブタは左を向きたがる、とか・・・

7時過ぎに買い物を抱えてシェアハウスに着くと、キッチンにピンクのサングラスをかけたキッチュな男。初めて住人に遭遇!生のマグロとアヴォカドの角切りが山盛りになったお皿に取り掛かろうとしている。目の端で観察していると、彼はマグロとアヴォカドを一口食べ、うっとりした顔をしている。そして娘に、部屋番号のついている戸棚を使うこと、冷蔵庫は3部屋に1台、食器は誰がどうやって洗ったかわからないので、自分のを持ってきたほうがいい・・・など教えてくれた。サングラスのせいで宇宙人のようだけどなかなか親切。

シェアハウスに荷物は移したものの、娘は私が発つまでウィークリーマンションに一緒に帰ってきた。
「ひとりで大丈夫?」(親はこういう意味のない質問をする生き物だ)
「大丈夫よ。いつか自分の羽で飛びたたなくちゃ」(これは娘の表現ではなく成句がある)
そして「あなたの娘は強いのよ」
なんか逆に励まされてない?


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プロフィール

Author:長谷川たかこ

この国に住もう!と決めたのは13歳のとき。それが実現したのは10年以上経ってから、それから30年の月日が流れました(計算しないで!)
現在フレンチ・コード主宰。訳書多数、著書3冊。夫1人、子供2人、猫2匹と暮らす騒がしい毎日。映画と料理とデビッド・ボウイが趣味。


長谷川たかこ

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