長谷川たかこのパリのふつうの生活
気になるニュース、お薦めの映画、
おかしな友達、子供の暮らし・・・
パリのふつうの日常
子猫の出現と円形脱毛症
DATE : 2009-11-14-Sat Comment 0
娘が子猫が生まれたうちを探して周り、アビシニアンとのハーフを連れてきたことは2週間前に書いた(猫に興味のない方はすっ飛ばしてください。)

可愛い雄猫で、私たちはすぐに魅せられたが、問題は、6年間ひとりっ子としてやりたい放題やっていた雌猫、アナイスとの関係である。

tama2.jpg

最初アナイスは、同じ動物だとは理解していない様子、と言っても、手玉に取って遊んだことのあるネズミとも違うので、非常に警戒していた。
身体は4倍くらいある彼女のほうが逃げ出す始末。

一方タマ(と名づけられた)は一緒に遊びたくて追いかけ、アナイスがすやすやと眠っているのを邪魔したり、残したご飯を食べちゃったりと気に障る言動が多い。

なんでわざわざここに来て寝るわけ?
anais_tama.jpg

子猫というのは文句なく圧倒的に可愛い。アナイスの公式飼い主である息子までが、帰ってくると「おータマタマ」と抱き上げて可愛がる。

tama0.jpg

tama1.jpg

「アンタの猫じゃない。嫉妬したら可愛そうでしょ」
「だってタマのほうで僕が好きなんだもん。僕のせいじゃない」と相変わらずの屁理屈。

共同生活を始めて10日ほど経ったとき、普段は猫に興味がない夫が、
「アナイスの背中見たか?」
一部、毛が抜けて地肌が見えているのは私も気づいていたけど、ただの皮膚病かと思っていた。
「もしかしてタマと関係ある?」
「その可能性大だ」と夫。
さすが、フロイトの国に生まれた人は慧眼というか考えすぎというか。
「でもアナイスを精神分析に連れていくわけにはいかないじゃん」
「そりゃそうだが・・・」

そこで夫は息子を呼びつけ、
「タマとあんまりイチャイチャするんじゃない!6年来の彼女をふって若い男に走るようなもんだ」と、ワケのわからないお説教をしている。

気のせいか次第に大きくなる円形脱毛症を見るたび、アナイスが気の毒になる。わがままに穏やかに流れていた中年猫の日常が、突然かき乱された・・・
期待した年の差カップル形成は今のところ難しそうだ。


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恋ではなくて欲望
DATE : 2009-11-12-Thu Comment 0
パレ・ロワイヤルのギャラリーにある有名な靴屋さんで2足のパンプスを買ったマルグリット。
いそいそとブティックを出てくるなり、ローラーブレードで疾走してきた男の子にバッグをひったくられる。
盗んだ男の子は現金だけ引き抜いてお財布を駐車場に捨てる。

駐車場で車に乗ろうとしたジョルジュは、赤いお財布が落ちているのを見つける。中には身分証明書、飛行機のパイロット免許書もある。
そこに貼ってあるマルグリットの写真をしばし見つめるジョルジュ。
電話して「お財布を拾いました」といえばいいことなのに、彼はそれができない。心がざわめくのだ。

アラン・レネの最新作『Les Herbes Folles』(気狂い草)はこんな風に始まる。

herbesfolles_affiche.jpg

レネがカンヌで今までの作品全体に与えられる特別賞を取り、アンドレ・デュソリエとサビーヌ・アザマの人気カップルが演じているので、前評判の高かった作品。
マチュー・アマルリックやエマニュエル・デュヴォスなど脇役も素敵なので、期待して観にいった。

映画界で有名なおしどり夫婦。デュソリエとアゼマ。
herbesfolles1.jpg

とぼけてるんだか、イッテるんだかわからない警官。マチュー・アマルリックの得意な役どころ。
herbesfolles_MA.jpg

マルグリットがお財布を拾ってもらったお礼の電話をかけてくると、
「それだけですか?・・・会いませんか?」とジョルジュ。「別にその必要はないと思いますけど・・・」と言われてストーカーになっちゃうとこなど、思春期の男の子のような言動はなかなか興味深い。
相手に関心を持つのは恋の始まりに似ている、と思うけど、これは欲望を描いた物語なんだそう。

オヴニーの批評に、常軌を逸したことがしたい欲望に火をつけた相手(マルグリット)に欲望を感じる、というようなことが書いてあり「ヒエー、すごい洞察」と感心したものの、観客はそこまで深く読むかな。
テンポがのろくて、自己自賛の感じが鼻につく。

バスティーユの映画館は補助椅子まで出る満員で、アラン・レネファンの50代、60代の人も沢山いたけど、みんな感情移入できなくて、シラーという雰囲気が漂った。

観た方がいたら、ご意見を聞きたいものです。


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プラザ・アテネの2時間
DATE : 2009-11-09-Mon Comment 0
マルセイユに画廊を持つ知人に、京都の画廊の女性オーナーを引き合わせることになって、場所は彼女が泊まっているホテルのロビーになった。
「ではプラザ・アテネで夕方の6時に」
「!?」

プラザ・アテネは、パリに5つあるパラスと呼ばれる超高級ホテルのひとつ。普通のツインで750ユーロから。スイートは1200ユーロから20000ユーロだ。

paris-august2-081.jpg

ロビー。トイレを見るのを忘れた。

plaza-athenee.jpg

日仏の画廊オーナーのやり取りも面白かったけど、プラザ・アテネに出入りするお客を眺めるのは更に面白かった。
アメリカ人、アラブ人が多い。
毎週、スパやエステに通い、過酷なダイエットをしている、という雰囲気のほっそりした人が多い。
ミッシェル・オバマによく似た黒人のマダムは常連らしく、フロントのスタッフたちが親しげに声をかけている。
ジーンズにダウンというラフなスタイルもあれば(でもダウンの襟にミンクがついてたりする)、毛皮のコートも通る。
Dior やGUCCIの買い物袋を両手に計6個下げた男性が帰ってくる。
バッグは圧倒的にエルメスのケリーが多く、黒、キャメル、グレイ、エルメス独特のきれいなブルー・・・2時間の間にこれだけエルメスを見たのは初めてだ。
7時を過ぎると、オペラか夜会にお出かけのロングドレスに毛皮のコートのマダムも通り過ぎる。

初老の紳士が女性と手を組んでホテルに入ってきた。女性の顔は見えないが、小柄で痩せていて、黒いミニのコート、ガーターベルトがモチーフになったストッキングをはいている。
20代の愛人ね・・・と思って見ていたら、ミニの女性が振り向いた。私はギャッと叫びそうになった。
しっかりメイクされているが65歳は過ぎている顔だった。
すごく若いスタイルとこの顔の組み合わせは、もう怪談の世界。

2時間の間にこのテの怪談カップルが2組通り過ぎた。
年相応って大事なことなのね。相手の男性はどう思っているんだろう?

ミーティングが終わってマルセイユの知人と一緒にモンテーニュ通りを歩いた。
「彼女はあそこに泊まっているんだろうか?」
「IBIS(シティホテルのチェーン)に泊まって、プラザ・アテネで待ち合わせするってこと?そういうことする人には見えないけど」
「私がパリに仕事でくると、クライアントに印象づけるためにホテル・リュテシアで打ち合わせするんだ。スタッフに友達がいて鍵を貸してくれるんで、それをテーブルの上に置いておく・・・」
「ひえー芸が細かいのね!」

モンテーニュ通りは一番贅沢なブランドがぎっしり詰まった場所。法外な付加価値のついた値段に腹が立つものの、美しいウィンドウは夢を見させてくれる。
通りが終わってメトロにつくと、私たちは魔法が切れたシンデレラの気分になった。
彼は娘さんに会いに15区へ、私はお腹を空かせた家族と2匹の猫が待つバスティーユへとメトロに乗った。


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リヨンで消えた現金輸送車
DATE : 2009-11-07-Sat Comment 0
木曜日の朝、リヨンのBanque de France(フランス国立銀行)を出た現金輸送車が行方不明になった。
45個の袋に分けられた1100万ユーロ(約15億円)も一緒に。
運転していた現金輸送会社LOOMIS警備員は、携帯もGPSも切って、数時間後に空っぽの現金輸送車がリヨンの郊外で見つかった。

67718_loomis-une.jpg

この警備員が怪しい、と誰もが思う。39歳、独身。

家宅捜査してみたら、アパートは住人が引越したあとのような状態。冷蔵庫は空っぽ(几帳面な人なのね)、手紙や請求書も、寝具もなくなっていた。
彼の銀行口座は10月末に預金が全部引き出されていた。つまり計画的犯行・・・ますます怪しい。

現金輸送会社LOOMISは、批難される前にフランス国立銀行の現金輸送の仕方を批難する、という自己防衛にでた:
普通、現金輸送車っで運ぶ金額は最高700万ユーロで、1100万ユーロは2回に分けて運ぶべき金額。
また輸送車の金庫を開けるには2人必要なので、(銀行内部に?)共犯者がいたに違いない。乗り捨てられた車の金庫は、こじ開けられたりせず、暗証番号を押して正しく開けられていた。

同僚たちは、容疑者のことを、無口で静かな人、でも
「ここ数ヶ月、様子がおかしかった」
「安月給だとぐちっていた」(現金輸送者の月給は約1200ユーロ、20年の経験者で約1500ユーロ)
「雇い主や銀行を恨んでいた」
「危険が伴う仕事なのにこの月給は許せない、このツケを払わせる、といっていた」
と、疑いが濃くなるような証言。

ほんと、おとなしそうな風貌。45個の袋を持った、この人に似た人を見かけたらすぐ通報!

convoyeur.jpg

自分の私生活のことは殆ど話さなかったけど、車、とくにスポーツカーが趣味だったそう(動機はそれか?)

彼は今年の5月に車の盗難届けを出していたことが判明。フェラーリ403F1。2002年にもアウディA8の盗難届けをだしている(安月給なのに高級車!)。
捜査が始まって24時間以上経つのに、45個の現金袋とともに見つからない。容疑者は前ユーゴスラヴィア出身なので、東欧に逃げた(意外と南かもよ)と予測して、そっち方面に警戒が敷かれている。

よく映画の話をするので、また・・・と思われるかも。でもこれは本当のお話です、念のため。


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この男がモテる理由
DATE : 2009-11-03-Tue Comment 0
娘の友達アリスの父親、ジェロームは音楽プロデューサー。
すごく可愛い奥さん(アリスの母)と別れてから、20歳くらい年下の、正統派美人のポーランド女性と一緒になった。彼女はバイオリニストなので、
「音楽を通じて知り合ったわけね」と娘にいうと、
「違うよ、アリスのベビーシッターだったの」
「ベビーシッター?!」
娘は“わかんない人ね、ヤレヤレ”という顔で、
「つまり、ジェロームが夜遅く帰ってきて、2人でおしゃべりとかするうちに、デキちゃったというわけよ」と説明してくれた。はーん、そういうわけなのね。

そのバイオリニストの正統派ポーランド美人とセーヌ川の船上で結婚式を挙げ、子供をひとり作ってから、別れた。
別れたと思ったら、また20歳年下の別の女性と一緒にいる、と娘が教えてくれた。
またしても「とっても可愛い」そうだ。
彼はハンサムでもないし中年太りで、お洒落でもない。一年中、カーキ色のブルゾンと形のないジーンズだ。なのに・・・
「なんで、そんなに次から次へ?」
「僕に聞かれてもわからない」と夫。

週末、娘がアリスのうちに泊まりにいった。駅まで送っていった私は、
「道、わかるよね?急いでいるから、ここで帰るね」とジェロームのうちまで行かずに帰った。
ちょっと気になって、メトロからジェロームに電話すると、「待ってたのに残念・・・」と言われた。

寄ればよかった・・・と少し後悔してから、「これなんだ!」と閃いた。
ちょっとした一言が、女心をホロリとさせる男性。気がついたら横に寝てた、というタイプなんだ。
そういえば、友達にもうひとり、4人の女性と4人の子供を作り、まだ遍歴の旅を続けているのがいたっけ。
魅力的?でも危険?


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